ジャンプを考える

そういえばスマブラってそんなにハマらなかったなー結局自分では買わなかったし。
と思って、何故ハマらなかったのかを考えてみる。

  • 攻防がフラットすぎて面白みが無い
  • 勝利条件が明快でない
  • 上手・下手を一概に計れない
  • 通常技のヒット感が薄い

とか色々あることはあるんですけどもどれも良いところと表裏一体で好き嫌いはある。


で、何か決定的にここがダメだなーってところを探すと「ジャンプ」に行き着く。


横スクロールアクションの偉大なるランドマーク「スーパーマリオブラザース」に後世のあらゆるアクションは影響を受けているといって過言ではないだろう。
また、対戦格闘の偉大なるランドマーク「ストリートファイターII」も、後のあらゆる格ゲーに影響を与えている。
スマブラが両者から少しの影響も受けていない、なんて言う人は居ないだろう。


ここで、両者の「ジャンプ」について考えてみたい。
とりあえずコンピューターゲームにおいて、ジャンプを司る変数を想像してみる。

  • 上昇加速度
  • 下降加速度

この二つの設定次第で、ジャンプの挙動は大きく変わるわけだが、マリオにおいてはこの二つが対称的に設定されている、と思われる。
それで、あの「ぴょーん」って感じの昇って降りるジャンプが出来上がるわけです。
これは2Dマリオから3Dマリオになっても受け継がれていて、すんなりとマリオの世界に入ることが出来る。
近いジャンプを持ってるゲームだとロックマンとかがあって、ただこっちはもう少しシビアな設定になっていて頂点での滞空時間がほとんどない。スッと跳んでペタッと落ちる。降りるというより落ちる、って感触。
いきおい、マリオよりもロックマンの方が、ジャンプにクセが出る。


じゃあスト2のジャンプは?って言うと
もっとフワッとした軌道になる。
つまり、上昇も下降も加速が緩やか。
まあこれはリュウをイメージした表現で、キャラによっては、例えばブランカとかチュンリーは速いジャンプになるし逆にダルシムはフワッフワのジャンプをする。

両者のジャンプに共通しているのは「上昇と下降が対称的」という点。
フワッと跳んでフッと降りるか、ピョンピョン跳ねているかの差はあるけれど
前ジャンプの軌道を描くと綺麗に弧を描く。半円を描くか円弧の一部を取るかはゲームやキャラによって異なるけれど。


長々と書いたけれどここからが本題。
スマブラのジャンプは上昇と下降が非対称だ。
跳ぶときはピョーンだけど降りてくる時はふーわふーわだ。
つまり、下降速度に(かなり浅い時点で)リミットがかけられている。
ってそりゃマリオだって無限に加速しながら落ちていくわけではなくてある時点で落下速度は一定になるんだろうけれど、マリオもスト2も基本的には平坦な土地でのアクションだから、それを意識することは少ない。
けれどスマブラは起伏に富み、高さもかなりあるステージがウリの一つになっているゲームだ。
だからこそ、ジャンプの挙動がはっきりと感じられる。
この挙動は、同じ任天堂でもマリオよりはむしろカービィの挙動だ。
ってそりゃディレクターが同じ桜井氏なんだから当然っちゃ当然なんだけれど。
桜井思想の一つには「ゲーム初心者でも楽しめるゲーム」っていうのがあると邪推してるんだけれど、そりゃ着地をゆっくりコントロール出来るほうが簡単っちゃ簡単だ。
上でジャンプコントロールの難しいゲームの代表として挙げたロックマンがそのまま「難しいアクション」の代名詞になっている*1のも、アクションゲームにおいてジャンプがいかに大きく難易度を左右するかの証明になっている。(針に落ちて「ピチュンピチュン!」って四散していった経験はおありでしょう)
「マリオに挫折した人へのアクションゲーム」として作られたカービィが、ジャンプコントロールにおいてかなり自由度が高い(なんせホバリングさえ出来るのだから)ことが、そのまま「スト2に挫折した人への格闘ゲーム」であるスマブラにおいても継承されている。


けれど、スマブラはやっぱりアクションゲームで、格ゲーで、子供なら違和感を感じないだろうけれど、マリオもスト2もプレイした私には違和感がある。
結局それがスマブラを好きになれない理由で、その違和感が最もわかりやすい形で表出しているのがジャンプという行動なんだろうな、と思う。

*1:同じカプコンの「魔界村」もむずかしアクションの代名詞ですが、あれはジャンプ中の軌道操作が不可能、という点で難易度が上がっていると思う。やはりジャンプは重要な部分だ